黒峰 部活にて


『部活にて』





いつもの部室に行くのになぜかドキドキした・・・





ごく普通の反応だった・・・
誰も地区大会のことを話題にしない・・・
あれ?・・・俺ってテニス部に友達いなかったっけ・・・いやいや・・・


「黒峰、昨日の地区大会突破したんだって?」


そう声をかけてくれたのは・・・白馬だった。


「えーマジかよ」
「すげぇな、つーかなんで教えてくれないんだよ」
「サプライズかよ、このこの〜」


別に隠してたわけじゃないけど、
地区大会で飛び跳ねて喜ぶのもなんかカッコ悪いと思っただけだし、
・・・なんで、最初に声をかけてくれるのが白馬なんだよ・・・


「実は俺も突破したんだけどな」


白馬が付け加える。

「それは知ってるし」
「つーか俺ら昨日ここで応援してたっしょ」
「ははは、ウケる〜」


「・・・」





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「黒峰君!」




部活帰り声をかけられる。
この綺麗な声・・・顔を見なくてもわかる・・・舞浜だ。



「地区大会突破おめでとう」



じっと俺の目を見てニコリと笑う舞浜・・・ああ、天使だ。



「風利から聞いたよ、もうどうして昨日メールしてくれなかったの?」



『風利』・・・この呼び捨てもグサッとくるが、
白馬から聞いたというのが・・・なんとも切なかった・・・



「一緒に頑張ろうね」



そう言って元気に駆けて行く舞浜・・・
嬉しい気持ちと嫌な気持ちが半々ぐらいだった・・・
いや、ここで嬉しい気持ちがあったらダメな気がするけど・・・


やっぱり、声をかけられるだけで嬉しい・・・駄目な気がするけど




地区大会の次は関東大会・・・もうあまり日もなかった。