【魔法協会創設編】ラピス平原の戦い
全面戦争
マクラーレンと部下の魔法使いが仲間になって、
クラスティア王国全土の魔獣討伐が加速した。
マクラーレン考案の『魔法の書』を使って情報伝達もスムーズになったし
『トウカゲちゃん』や『グレン君』が仲間になってくれたこともさらに拍車をかけたわ
鉄の魔女のサリアの動きを警戒してラグベール王国の動きは不思議なほどに静かだった。
のだけど・・・
流石にしびれを切らしたのか
全面攻撃に打って出る構えを見せることになった。
その日、
ラグベール王国軍1万人の大軍勢が攻めてくるとの一報が入る。
ついにこの日が来ましたか・・・
アクアローナはため息をつく、
いや、むしろ・・・
よくぞ今日まで大部隊での攻撃が無かった というべきなのかもしれません・・・
しかし、大丈夫、鉄の魔女サリアの『数千の鉄死行進』の鎧兵団がいればギリギリ勝てることでしょう。1万人の軍勢と言っても全員が戦闘員でもないでしょうし、こっちの鎧は不死ですもの
サリア「『数千?』・・・いや無理じゃ、多くとも 『数百が』 いいとこだぞ?」
・・・は?
いえいえ、何を冗談を言っているのです?
あなた数十年前にリムガントを数千の鎧の軍勢で包囲したって伝説にも語られていますよ?
サリア「それは先代のババアじゃ、ワシではない、というかワシはその時まだ生まれとらんし」
・・・へ?
サリア・・・あなた歳はいくつなのです?・・・
なになに・・・私やアルザスとほぼ同じ年齢・・・
アクア「はは・・・ご冗談を」
サリア「冗談ではないが、お前、今までワシのことを何歳だと思っておったんじゃ」
つまり、サリアと先代は違う人物で鎧の兵士を動かすのは数百が限界らしい・・・
まずい・・・これではラグベールの軍勢に負けてしまう・・・
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アルザス「そうか・・・サリアと先代は違うひとだったのか」
アクア「ええ、サリアを少々買いかぶり過ぎていたようです」
サリア「なんじゃとぉ」
アクア「トウカゲちゃんの例もあったので、年齢感覚も鈍くなっていましたし」
トウカゲ「さらっと ボクも悪いみたいに言うのやめて欲しいんだけど」
マクラーレン「しかしどうする?」
普通に戦うことも当然できるだろう・・・
アクア「マクラーレンさん、私は大規模戦闘において最も重要な要素は『情報』だと考えます。・・・相手に不利な情報が集まれば集まるほどに彼らの撤退の決断は早くなり、犠牲が少なくて済むはずです・・・よって、彼らに『鉄死行進は思ったほどは脅威ではない』という情報を与えることを避けたいのです」
(むしろ、鉄死行進がいかに脅威かという情報を敵に流し続けていたぐらいですし)
鉄死行進の軍を数千の大軍隊に見せるためにサリアの鎧の部隊は最前列にのみ配置して後ろの軍隊は別の誰かに演じてもらうというのはいかがでしょうか?
「別の誰か?」
自軍の兵士、魔法使いや魔女、足りなければ周辺住民の方々も召集します。
そして、演出は派手におこなう。短期決戦覚悟で魔法を使います。例えばグレン君の火の魔法を最初に盛大にぶっ放すとか、鎧を着たアルザスに突進してもらって軍に風穴をあけるとか
マクラーレン「だが・・・それは・・・バレた時のリスクも高いぞ」
「・・・」
アクアローナは言葉を止めて黙る。
下を向いて押し黙って、ゆっくりを顔を上げて言葉を吐き出す。
「だから・・・これは・・・お願いです・・・皆さん・・・私に命を預けてくれませんか?」
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のちにラピス平原の戦いと呼ばれるクラスティア、ラグベール両軍の大部隊の激突は、たった1日・・・クラスティア王国の勝利で終わることとなる。
両国には停戦協定が結ばれ、大戦は終局へと向かっていく。
勝利の立役者となった『魔法協会』と『鉄の魔女の鉄死行進』の名前は他国に知れ渡ることとなるのだった・・・