ウツロ 魔法協会のやべー奴ら

魔法協会のやべー奴らとグレンの回想





自分に 自信なんてない・・・あるのは・・・意地だけだ。





火の七賢人 グレン=ハッシュド はため息をつく。

戦乱の渦中にあるクラスティア王国、
まだ少年だった当時俺は・・・魔法の天才だった。

義賊集団『フレムベル』
当時の半ば気の荒い輩の集団のリーダーとの一騎打ちに勝利して、組織ごと乗っ取ってやった。
小僧がリーダーをすることに反発する者もいたが実力でねじ伏せる。



俺TUEEEEEE 強ぇええええ



そう天狗になっていた。
ひゃほいしていた、いやその当時、誰も俺にかなわない、無敵だった。
年上のお姉さんにもモテた・・・ふふ




その自信は、ある日、ガラガラと崩れ去る。




当時発足したばかりの魔法協会には・・・『3人の化け物』がいた。




風のアルザス
俺の火の魔法を容易く打ち消してしまう
飛行魔法など俺よりも数段上の性能を持っていた。


水のアクアローナ
駄目だ相性が悪すぎる。
あと・・・得体が知れない。


鉄のサリアーデ
に至っては彼女が片手を振るだけで決着がついた。



サリア「どうした、もう終わりか?・・・くくく」



アクア「駄目ですよ サリア、『ちょっと お痛 しただけの子供』相手に大人げない」
サリア「おお、そうかの」


アルザス(・・・『おねショタ』・・・ボソボソ)
サリア「意味は分からんが・・・その不快な単語を言うのをやめろ」



・・・強敵とさえ思ってもらえない。
これが俺の実力だというのか・・・


そして、義賊集団『フレムベル』は
魔法協会の軍門に下ることとなり、今では『フレムベル隊』という名前だけが残っている。



俺は事あるごとにサリアに戦いを挑んだ。
俺こそが最強だ、最強でなければならないんだ・・・
そうでなければ・・・俺の存在意義が・・・わからなくなる!!


だが、結局いつもいつもボロ負けで勝つ筋すらついに見えなかった。



サリア「くくく・・・もう終わりか?・・・そんなことでは、いつまでたっても「坊や」のままじゃの、『グレン坊』よ」



アルザス「グレン坊君、こっちの魔獣退治手伝って欲しいんだけど」
アクアローナ「グレン坊さん、こっちに火に弱い魔獣が」


グレン坊で定着してやがる。





アルザス姉が殺された時、
俺は、サリア姉を信じている、サリア姉の部下にして欲しいと頼み込んだ。


サリア「なら・・・魔法協会を・・・頼んだぞ、グレン」


初めて・・・名前を・・・ちゃんと呼んでもらえた。

そして、現在に至るわけだ・・・
火の七賢人の名前や責任は正直途方もなく重荷だが・・・



それでも・・・俺は引くわけにはいかない・・・それが俺のプライドだ。





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リグレット「じゃあ、どうして、サリア様に会うことを嫌がるんです?」



グレン「・・・!?」
あれ?今の回想声に出していたか?

(あのときの情けない自分を思い出すのが嫌だから・・・)
などと部下の前で言える訳もなく。




今日も魔法協会本部の廊下を颯爽と歩く。
通り過ぎるグレンにクラフトは横に立ち敬礼をする。



クラフト「・・・やはり、グレン様はカッコいいな」



リグレット「・・・」
しょっぱい顔で、何か言いたげなリグレットだった。










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涙が零れ落ちる・・・


リグレット「じゃあ、どうして、サリア様に会うことを嫌がるんです?」


グレン「・・・」
あのときの情けない自分を思い出すのが嫌だから・・・
などと部下の前で言える訳もなく