脛蹴り そういえばチュートリアルがまだだったな

そういえばチュートリアルがまだだったな





ケイシュウは思い出す。
御土流を習い始めてしばらく経った頃



師匠「ケイシュウ、山に行くぞ」


突然、思いついたように言い出す師匠。
せっせと準備して郊外の山を目指す。

かなり田舎の方まで走った。


当時の交通費はべらぼうに高かったので
移動手段は徒歩である。
あんな距離をひたすらに走った、

(ああ、ますます人間離れしている気がする・・・)


到着したらもう夕方であった。
軽い食事を済ませて、山に入る。



師匠「さぁ、これから『チュートリアル』をおこなうぞ!」




ちゅーとりあるってなんだ?
また、師匠がわけわからんことを言い始めたな・・・


師匠は最近、近所に謳州人の飲み友達ができたらしく
妙な単語を口走ることが多くなった。



今回の『物の怪』討伐任務



鬼鶴×1




『物の怪』?『鬼鶴』?

師匠によれば、桜花国の田舎には当たり前のように『物の怪』が出現して人を喰らうなど迷惑をかけるらしい。それを討伐するのも御土流継承者のお仕事だそうだ。

師匠ってちゃんと働いてたのか、毎日のんべんだらりと過ごしているから普通にニートかと思ってた。

『鬼鶴』は『初心者ビギナー向けの物の怪』だから、俺に倒させるように指導すると・・・なるほどなるほど




グギャアアアア嗚呼ああ!!!!




悍ましい悲鳴にも似た鳴き声が響き渡る。
山の鳥たちが驚いて一斉に逃げ出す。


「ふ・・・わざわざ自分の位置を知らせるとは愚か愚か」


・・・嫌な予感



山を走り抜けた先に奴は現れた。
軽々と木をなぎ倒す身長が俺の3倍はある巨大な鶏
顔は般若の面をつけたようなナリをして、口には血の跡・・・何を食べていたんだろう



あわわわ・・・



いや、無理・・・
俺の常識の範囲内だと丸腰の人間が勝てる感じじゃないから


「大丈夫だ」


「今回はチュートリアルだと言っただろう?・・・死にそうになる直前に回収してやる・・・『何度でもやり直し可』だ!!」


いい顔で親指を立てる、師匠



何度でもやり直し、それなんて拷問










これ本当に初心者向けなんですよね?










例えるなら、今のケイシュウの状態は


SSRジョブの脛蹴りを





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