寮母のお婆さんと芋
ウツロは現在、魔法協会北支部の男子寮に住んでいる。
1Fの食堂、
夜は酒場を経営しているが、
朝は、寮には寮母のお婆さんがひとり食事を準備してくれる。
お婆さんの食事は
過去の戦時中の非常食であるクラノ芋と呼ばれる芋が主体で
あまりおいしくない・・・はっきり言うと不味いため、食べる者が少なかった。
というか最近では男子寮に住む者も稀で、ほぼウツロと遠征部隊の仮宿として機能しているぐらいだった。
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お婆さんは思い出す。
その当時のクラスティア王国辺境は
ラグベールによる進行と魔獣被害で貧しかった。
農家の嫁だった彼女は市に作物を売りに来ていた。
クラノ芋・・・こんな農作物しかもう作れない・・・
「お芋ひとつ・・・下さい」
「・・・ッ」
ズタズタに傷だらけの顔
「『魔法協会員にクラノ芋を食べさせる』この意味・・・お前にはわかるまい」
「全くわからん」
朝、まだ頭がくらくらするが、なんとか支部を目指すことにする。