オリジナル小説

カルデラ城の大図書館の館長デルタには
最近カルデラの国で発生している数々の不可思議な事件について情報を集めていた。
彼には事件の原因について心当たりがあった。

カルデラの伝承にある12匹の悪魔が復活したのだ。
北の神殿で封印が解かれていたことも確認した。なんとか手を打たなければこの国は取り返しのつかないことになる。

館長デルタは大臣にそう進言した。

デルタ「グラノール地方の穀物を食い荒らす化け物も樹海の行方不明者も議員が石像に変えられたという噂もすべて悪魔のせいなのだ。」
大臣「また、そのおとぎ話かね。あまりに妄言が過ぎぞ。実際、直近では化け物の目撃情報はなくなったし、食料支援も進んでいる。樹海の行方不明者は医師団を派遣した。議員の件は彼ら自身が体調不良だったと説明している・・・ほら何も問題ないではないか。」


デルタ「・・・」
大臣「あーそれと悪魔を退治する国宝の”白い剣”だったかは、この間、族に盗まれてしまったぞ。」
デルタ「・・・盗まれた?あれは悪魔に対抗できる唯一の手段ですぞ。」
大臣「・・・君ばその年でまだそんなおとぎ話を信じておるのかね。あんなカビの生えた骨董品、盗まれなくとも近々処分する予定だったぞ。そのくらい我が国の経済状況はひっ迫しておるのを知っておろう?」


デルタ「しかし・・・しかし・・・」
大臣「・・・もういいかね・・・今は皇太子の婚礼の儀の前だ。不吉な話は控えたたまえ。」




「面白い話をしていますわね・・・」




大臣「おお・・・噂をすれば・・・君は初対面だったか・・・彼女こそ皇太子と婚約されているコスカ様だ。」

その姿は洋人形のよう、その容姿はあまりに美しく整っていた。まるで人ならざるモノのように・・・



「その話・・・わたくしにもして下さらないかしら?」



コスカはにっこりとほほ笑む。
その1日後、館長デルタは牢屋に幽閉される。




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天使は丘の上で寝そべって休んでいた。

天使(・・・・騎士道悪魔を倒して、3体目・・・なかなか順調に進んでいる、当初の予定では4,5人必要かと思ったのに)




使い魔「定期報告です。・・・・というわけで以上です。」
天使「・・・・このままのペースで進めていいから」
使い魔「まさか、3匹をひとりで倒してしまうなんて・・」
天使「当然よ、神の運命だもの」
使い魔「・・・当初、10人くらいに声をかけて断られましたが・・・」
天使「そんなこともあったかしら・・」




天使「次の手筈は・・・」
使い魔「ええっ、私もいかなきゃ駄目ですか?」
天使「・・なにか言った?」


使い魔「いえ・・行ってきます」





首になってからしばらくは、興奮状態が続いていたが、一周回って疲れてきた。
キロはだんだん目の隈が目立ってきた。
(この世の中はどこへいっても変わらない・・・・地獄なんだ。)





港町
この海峡を越えれば、貿易都市にいける。
貿易都市は大都会、仕事もきっとあるはずだ
町はひどく寂れていた。
最近この町の海は沖合に出るとひどい嵐に襲われて船を出せないらしい。
貿易都市と交通を断絶されたこの町は、いまひどい有様である。



「いや、やめた方がいい、死ににいくようなものだよ、町の天気はいいけれど、ひとたび沖に出ると、前後左右も分からない嵐に出会うんだ。」
「3か月前も冒険家とか名乗る親子が調査に行ったきり戻ってこないし」




「なら、陸路かな?」
キロはぼんやり海を眺めていた。




使い魔「海路でしょう。そこに小舟も用意しましたし」
キロ「はぁ?何をいってるんだよ、最近は海が荒れていて、舟は無理だって」
使い魔「海路ならば2日で到着できるのに、陸路だと1週間。しかも、危険な山岳地帯や荒野もあります。」
キロ「いや、でもさっき、海路で帰ってきた船はないって・・・」
使い魔「・・・・じ、実は、裏ルートがあるんですよ」
キロ「裏ルート?」
使い魔「私しか知らない秘密の裏ルートがあるような、ないような」


キロ(早く着いた方がいいなぁ)
キロ「よーし、じゃあ行こう」
使い魔「ええ、ホントに行くんですか?」



一通り準備をするキロ
港町の人々は、呆れ顔で、こちらを見ている。
「はははは、兄ちゃん大した度胸だな・・まあ、餞別だ。持ってけ」
親切にお弁当までよこしてくれた。



使い魔「わ、私は遠慮しようかな・・・」
キロは逃げる使い魔をつかんだ。
キロ「なに、怖気づいてるんだよ、おまえがいないと裏ルートわかんないだろ」
キロ「よし、出航」
使い魔「ああ」




舟は海を滑るように進んでいく、波はおだやかだ。
漕いでもないのにどこかに引き寄せられるように進んでいく・・・
使い魔「ううう、自由になるためとはいえ、私は泳げないんですが・・」
キロ「大丈夫だって、舟の上だ、嵐とか来ない限り」
そのとき、使い魔が持っている本が光り、ページが開いた。




暴風悪魔

嵐を呼ぶ悪魔

風と雨と雷を呼ぶ

人面怪鳥のような外見




キロ「・・・・・・・」
使い魔「・・・・・・・・」
キロ「騙したな」
使い魔「はい」


キロ「舟の上でどうやって戦うんだよ。」
使い魔「私だって、命がけなんですから(悪魔は死なないけれど)」
使い魔「とにかく頑張ってください。もう、あなたに頼るしかない。」
キロ「ええ」



雲の移動が速い。
舟は黒い雲に引き寄せられていく。
穏やかだった波があらぶっていく・・・