オリジナル小説

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キロはロックとともに下水道を彷徨っていた。
キロはロックの提案をやんわり断ろうと努力していたが、結局来ることになってしまった。
使い魔「キロさんは押しが弱いんですよ」
返す言葉もない・・・



キロ「悪魔退治なんて無意味な狂言はやめたほうがいいですよ、悪魔なんていませんよ」
キロは何とか説得を試みたが、ロックの意思は固い。
ロック「俺だけの問題じゃないんだ」

ロック「俺が、幼少のころお世話になっていたイルマおじさんが行方不明になったんだ。
町の人は、あの悪魔に食われたんじゃないかって話してた。
助けなきゃなんない。」


イルマおじさんは献身的なひとだった、誰かのために自分の財産を全部なげうってしまうひとだった。
俺は小さいころから大分世話になったんだ。助けなきゃなんない。この命に代えても



使い魔「まるで、キロさんみたいな方ですね」
キロ「・・・・・」



キロ「わかりました、この剣を授けます」
ロック「なんだそれ?ずいぶんボロっちい剣だな」
キロ「この剣はかの有名なカルデラの英雄、戦場の天使アーシェが悪魔退治に用いた由緒正しき剣なのです。」
ロック「なんだかそう言われると年代物の値打ち物に見えてこなくもないなぁ」
キロ「ロックさんがこれから命を賭けて悪魔祓いをされるというならばお譲りします。」
ロックさんは白い剣を手にとってみた。
剣を持つだけでロックさんは手に汗をかいて真っ青になった。
ロック「うわあああああ」
ロックさんは剣を投げ捨てた。


ロックは本能的に感じたのだった。この剣が自分の命を脅かす危険なものであると
ロック「なんかこの剣を持つとすごいいやな予感がした。自分の心臓が侵されるみたいな」
キロ「ええ、それは悪魔を退治すると持ち主の寿命を1年に縮める剣です」
ロック「誰が使うんだよ!!ああ、怖いなんてものを渡すんだ。こんな剣を使う馬鹿がいるかよ。」

キロ(・・馬鹿って・・・)

キロ「命賭けて悪魔退治するんでしょ?さあ、この剣を使えーーー」
ロック「嫌だ!!死んだら何もかも意味がないだろ、大金稼いだって、いいお酒も飲めない、いい暮らしもできない、いい女と遊べないんだぞ!」



ロック「・・・まさかお前・・・」




キロ「・・・そんなまさか、ははははは」
ロック「だよなぁはははは」


使い魔「ですよね、あははは」



キロは思った。
キロ(命を縮めてまで悪魔退治をしたい奴なんていないんだ・・・)




・・・・・・・




下水道なんていて気分のいい場所じゃあない
一番誰もが近寄らない場所だ。
しかし、下水道がなければ人々の暮らしは成り立たない。



がさっ



何かが動く音がした。
ロックがランタンその方向を照らすと4−5mもある黒い巨大な何かがいた。
そのものは光に気がついて
ガサガサと大きな音を立てて逃げていった。


使い魔「あー今の多分悪魔ですね、追いましょう」
キロ「はー、悪魔か」

常に先頭きって歩いていたロックの足が止まっていた。
ランタンを持つ手が震えている。
ロック「・・・もしかしてあれと戦うのか?」

使い魔「震えていますが、大丈夫ですか?」
キロ「・・・・・」

ロック「はははは何を言ってんだよ、さあいくぜ、遅れるなよ」



ロックは自分が死ぬかもしれないと実際に感じたとき
引き返すことを本気で考えた。
そんな自分が信じられなかった。
自分があれほどお世話になったイルマさんを探すためだぞ
イルマさんのために命を懸けると決めたのに・・・
退魔師になるって決めたのに・・・




人の痛みを吸収する悪魔は下水道のさらに深いところで怯えていた。
白い剣をもつ男を見てしまったからだ。
白い剣の所有者にかかれば私の能力がなくなってしまうとフードの男は言っていた。


「私はもっと人々の役に立たなければならないんだ、
人々のために私は自分を犠牲にすることも厭わない。なんて私は高尚な男だ。
そう・・・・そのために彼を・・・殺す」