はたく

はたく




オーク、熊さんに教えを乞う
※あれ?こっち方向に話を広げていいんだっけ?




俺はオークだ。この森の主、大オークの部下をしていた。
この森に人間の少女が迷い込んだと聞いて、捕まえるために森を捜索していた。


俺自身、それが大オークの暇つぶしのためだとわかっていたから、
あえて大きな叫び声を上げて森の外に追い出すように探していた。逃げてもよし、捕まってもよしと思って仕事をしていた。



正確な記憶はかなり薄れているが、なんとなくは覚えている・・・



そこで・・・思わぬモノと出会った。



黒い衣装に身を包む人間のようなモノ・・・俺の威嚇を意に介さず冷静に向かって来た。
俺はそれに圧倒されるように全力で棍棒を振り下ろした。
恐れていたのかもしれない・・・その口では説明できない奇妙な気配に・・・



俺の棍棒は奴の体をすり抜けた・・・いや、そうとしか思えない手ごたえだった。・・・次の瞬間俺は気を失っていた。





ゴブリンどもに運ばれて俺が目覚めたのは3日後だった。
なぜか俺の傍らにサンドイッチが供えられていたらしい、意図はよくわからないが、




オークが人間にのされてしまった、そんな不名誉な烙印を押され・・・俺はなわばりを追放された。
そして、いまは見知らぬ土地で途方に暮れているというわけだ。





敵にもらったらしいサンドイッチを頬張る。悲しいわけでもないのに・・・涙がしたたり落ちる。






熊さん「おうおう、しけた面してんじゃねーか。お前さん」

オーク「!?」
なんだ、この毛むくじゃらのモンスター・・・初めて見る種族だな。




熊さん「まあ、立ち話もなんだからな・・・さあ飲みな」
俺はその化け物と盃をかわすことにした。



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熊さん「仕事を首になったぐれぇでくよくよしてどうする。」
オーク「そんなんじゃない。ただ・・・わからなくなったんだ。俺が・・・俺自身がどう進むのが正しいのか・・・」



熊さん「・・・・これは俺の先祖の話だが・・・よく人間の畑を荒らす悪い熊だったらしい。そんな時、真田流って武術を使う男が現れてな、こっぴどく懲らしめられた。それで・・・俺の先祖はどうしたと思う?」

オーク「・・・・」

熊さん「ある時は、こっそり、男の挙動を観察したり、ある時は、日に何度も挑んでコテンパンにされたりしてひたすらに真田流の男に立ち向かったのさ。結局一度も勝てなかったそうだけどな。でもちょっとずつ真田流の技を吸収していった。俺にもその技は伝わっている。」



オーク「・・・・」



熊さん「まあ、なんだ、答えになってねーな、・・・酔いも冷めた・・・こっから先は武術で語ろうや。」
熊さんは立ち上がる。



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オークは仰向けに倒れ森の木々を見つめていた。
何度も何度も棍棒で熊に殴りかかったが、まともに当たることすらなかった。
オークは何度も投げ飛ばされて動けないでいた。



熊さん「どうしたぁ?もう終わりか?」
オーク「・・・・」



オークは棍棒を投げ捨てた。



オーク「こんな物はいらない。もう一度手合わせしてくれ。」
熊さん「いい目になってきたな・・・いいぜ、来いよ。」



気づくと朝になっていた。オークはもう動けないほどにダメージを受けていた。


オーク「・・・・・・世話になったな、次会うことになったら、ありったけの酒をご馳走しよう。」
熊さん「ああ、期待してるぜ。」

倒れるオークを背に熊さんは森に消えていく。