はたく

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テスラさん、異世界堂にホームステイする




テスラさん・・・異世界堂前・・・





異世界堂・・・この和菓子店は妙だ。
こんな情報化社会にあって、その店はネットにも記載されていない。


そんな店は・・・よほどマイナーな個人商店か
もしくは・・・何かしら裏の世界とつながっている店かのどちらかだ・・・



私は今その店の前に来ている・・・しばらく張り込んで監視をしようとも思ったが・・・ここまで入り組んだ路地の隅っこにある店を監視できる場所は見当たらなかった。

この店は老婆がひとりで切り盛りしているようだった。


婆ちゃん「・・・・」
テスラ「・・・・こんにちワ・・・饅頭をひとつくだサイ・・・」



老婆は難しい顔をしたまま動かない・・・私は何かおかしなことをしただろうか・・・もしや、私の素性に感づいたのか?・・・そんなことあり得ない・・・


孝一「婆ちゃん、異世界饅頭 6個頂戴・・・」



後ろからお客が来た。
老婆は高校生になにやら耳打ちしている・・・何を話している?

孝一「・・・え・・・・」
高校生らしき男子が私を難しそうな目で見る。



孝一「・・・・This is ・・・コウイチ・・・」



永い沈黙・・・



テスラ「あの・・・私は二ホン語、話せますけれど・・・」




孝一「!?」
婆ちゃん「!?」




それから、よくわからないうちに、ホテル住まいならうちに泊まっていけばいいということになり、老婆の和菓子屋に居候することになった。


それは私にとって好都合だった。
なぜなら、この店が黒い怪物についての唯一の手掛かりなのだから・・・




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これが二ホンのお風呂か・・・癒されるな・・・



晩御飯は質素だが、口に合うものだった。
寝るには早い時間だったが、婆や が寝るというので、寝ることにした。

木造住宅だからだろうか、木のいい香りがする。




ズシン・・・




建物は揺れなかったが、なんだかビリビリする振動がお腹に伝わる・・・なんだ?・・・これは・・・




テスラは夢を見る。それは父親の夢・・・軍人だった父は早くに亡くなってしまった。幼い頃の記憶しか残っていないが優しい父だった・・・父の夢を見るなんて何年ぶりだろう。




早朝に目が覚める。
目覚めはスッキリだった・・・それこそ・・・『生まれ変わったような』という表現がしっくりくるほどに・・・




老婆「なんじゃ?泣いておるのか?」
テスラ「・・・早くに亡くした父親の夢を・・・見たもので・・・」


老婆「・・・落ち着いたら、飯を食え・・・」
テスラ「・・・ええ」




婆やに昨夜起きた振動について聞いてみた。



老婆「・・・ああ、それは、孝一じゃな・・・」
孝一はあの高校生のことらしい。

老婆「近所の壁を殴る悪ガキじゃよ。・・・まあ、よく買いに来るお得意様でもあるし、奴が壁を殴りに来るときは不思議と関節痛の痛みがマシになるから・・・見逃しておるがな・・・」




異世界饅頭・・・スッキリした目覚め・・・関節痛の改善・・・まさか・・・





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老婆「では、わしは饅頭の下ごしらえをするかな・・・」
テスラ「・・・おばあちゃん、手伝いますよ・・・」
老婆「・・・お主・・・ガサツそうだが・・・料理できるのか?・・・」
テスラ「・・・シツレイですね、私はスコーンだって作れますよ。」



老婆「・・・じゃあ、何か作ってみろ・・・」



テスラは老婆のように饅頭を作ってみた。



試食・・・
老婆「・・・30点じゃな・・・」
テスラ「・・・おお、手厳しい。」




テスラ(・・・うーん、むきになって作った饅頭が余ってしまいましたね・・・)
テスラは科捜研に送ってしまうことにした。


数日後・・・科捜研からハガキが届く・・・『30点』と書かれていた。








































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テスラ「あの・・・ひとつ聞いてもいいですか・・・」
老婆「なんじゃい」

テスラ「あの異世界って書いてある意味は何なんです?」