ウツロ シルドvsウツロ

盾剣士と魔法淑女 その2




シルドvsウツロ




シルド「さぁ・・・来い」
盾を構えるシルド
ただそれだけであるのに・・・威圧感を感じた。



シルド「・・・」
ウツロ「・・・」



じりじりとにらみ合う二人・・・
攻めてこないな・・・まぁ盾しか持ってないから当たり前か・・・




さて、どうするか・・・
噂によるとシルドは剣と盾装備していた時代から剣術盾術において相当高いレベルだったらしい。盾しか持っていない今の状態でもウツロの『なんちゃって剣術』では突破することが難しいだろう。

加えて、シルドの知名度を一気に上げた魔法『反射リフレク盾』
遠距離からの魔法の類はきれいに反射されてしまうそうだ、ウツロの風切りも例外ではない
魔力が少ないのにそんな魔法が使えるなんて、相当短い時間しか発動できないだろうに・・・どうやってタイミング合わせてるんだろう・・・だが、それができるからこその『盾剣士』・・・



ウツロはシルドに斬りかかる、どんな斬撃もシルドの堅い守りを崩せない。



×ただの風切り
×接近戦


・・・あ、これ詰んだんじゃないかな?




たとえ・・・ここで負けたとしても名誉以外失わない・・・
適当に ご機嫌取り をしておくのが最善・・・



力が抜けていく・・・構えた剣の刀身が下がるのを感じた・・・





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戦いの最中・・・
心の中に浮かんで来たのは、マリエがむせび泣く姿だった。
自信の魔力をうまく制御できず、厄介者扱いされて、悲しむマリエの頭を優しく撫でた。


「・・・俺と・・・二人で強くなろう・・・どうせなら・・・魔法協会で一番のコンビになろう」


俺は優しくマリエに笑いかけた・・・




防御に徹すること・・・そして、ブレないこと・・・
攻撃に転じようとしたときにスキが生じるならば・・・攻撃しなければいい・・・





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ウツロは長く・・・息を吐く・・・
(勿体ないけど・・・まぁ・・・いいか)


剣を振りかぶる。



来る・・・



鋭い風切りがシルドの盾に当たる。
速いな・・・これが噂の風切りか・・・だが、予想の範囲内だ



反射リフレク盾



跳ね返った風切りがウツロの体をかすめる・・・
構わず2撃目、剣を振る



・・・?・・・連続発動か・・・だが、甘い・・・



『透過風切り』がシルドの反射リフレク盾をすり抜けて、シルドの体を傷つけた・・・






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「「「乾杯!!」」」



シルド、マリエ、ウツロ、ミラは東支部の街で盃を交わす。
ミラはジュースだが・・・


さぁ今日はおごりだ、たくさん食べてくれ


シルド「俺たちの完敗だ・・」
ミラもマリエさんに勝ったらしい。
シルドとマリエはポーションを飲んで回復したそうだ。
そして、俺は自分で食らった『かゆみ風切り』がうずかった・・・ああ・・・かゆい


マリエさんの髪がアフロのように爆発している・・・
髪は回復しないんだな・・・吹き出しそうで目を合わせ辛い。



マリエとミラはお喋りに花を咲かせていた。



シルドはウツロに話しかける。
「今日は本当にすまなかった・・・『あるひと』に君たちのことを聞いてどうしても戦ってみたくなったんだ・・・」



シルドさんは爽やかでいい人だった・・・
頭のおかしい人とか思ってしまってすいません。



シルド「だが・・・戦って良かった・・・今日はそう思えた・・・」



シルドは機嫌良く笑う。
なんて爽やかイケメンなんだろう・・・
俺だったらしばらくウジウジして立ち直れなくなりそうなところだ



(キャラなんて・・・どこも被っていないだろうに・・・)



などと考えて卑屈になりそうだった。





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ミラ「マリエ先輩・・・あのもしかして・・・その指輪って・・・」


マリエ「ええ・・・相棒になって半年でシルドから熱烈なプロポーズを・・・ふふ」
照れるマリエは幸せそうに笑う。


ミラ「・・・ぐ」



・・・



ミラ「先輩、先輩ッ」
ミラが飛びついてくる。

ミラ「・・・ウツロ先輩・・・私達は・・・圧倒的に負けていますッ」
目に涙をにじませるミラ


何言ってるんだ?両方とも勝っただろ・・・

















『盾は詰み』





あの一閃・・・君という人間を垣間見た気がするよ・・・ふふ








もったいない・・・






・・・




その時・・・
頭をよぎったのはミラの姿だった・・・
既存の魔法も威力が増して、新しい魔法も覚えていく・・・


火魔女もスフィールもイズナも・・・後輩魔女は頼もしい・・・


俺は・・・


短くため息を吐く
気が付いたら・・・


俺は『透過風切り』を放っていた・・・




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魔法協会東支部のある街カルストルス
木材とレンガの並ぶ色彩豊かな街・・・


一軒の酒場で、



?別に方法


こんな時用の『透過風切り』だが・・・
切り札として隠しておきたい技を こんなこと で使うのはもったいない気がする・・・