【魔法協会創設編】着せたかったドレス
・・・
アクアローナは上機嫌で皆の待つ宿へ急ぐ。
久しぶりにアウディーネ家の実家に戻って遅くなってしまった。
その代わりたくさんのドレスや髪飾りを持って帰ってきた。
(ブラシでアルザスの髪をとかしてあげよう・・・髪質は良いから、きっと美人になるわ・・・ふふふ・・・それからとっておきのドレスも着せてあげよう・・・サリアにもドレスがあるわ、きっと嫌がるだろう・・・何とかして着せる方法を考えなくちゃ・・・)
宿に人だかりができていた・・・
宿が襲撃され、アルザスとサリアが居なくなったらしい。
急いで周囲を捜索する。
完全に油断していた・・・
まさか和平調停をかわした後にこんな事が起こるなんて・・・
アルザス・・・サリア・・・
お願い無事でいて・・・
路地裏・・・
ふたりの姿が見えた・・・
ほっと胸をなでおろす。
次の瞬間・・・
サリアの操る剣が・・・アルザスの心臓を貫く・・・
何が起きたのか、理解できなかった。
戦場での夜に見る悪夢の続きにしか思えなかった。
振り返るサリア・・・
アルザスの返り血を浴びて表情が良く見えない。
私がいることに驚いているように見える。
「どう・・・して・・・こんなことを・・・」
震える声を振り絞って音を出す・・・
「ワシが・・・殺した・・・ただ気に入らなかっただけじゃ・・・」
その場にへたり込む私・・・
「もう仲間ごっこはウンザリじゃ・・・せいぜいワシを恨むがいいぞ」
冷たく言い捨てて去っていくサリアを・・・私は引き留めることが出来なかった。
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サリアは鋼鉄の城で台座に腰かけてうなだれる。
眷属の鎧達がサリアの好きそうな剣や槍や鎧を献上するも、興味を示す様子もない。
ひたすらに機嫌の悪いサリアの魔力の波動を感じ、鎧達は右往左往するばかりだった。
ありがとう・・・ありがとう・・・サリア・・・
死ぬ間際のアルザスのセリフが何度も頭の中を駆け巡る。
たわけがッ・・・恨み言を言われた方が・・・まだマシじゃ
【魔法協会創設編】それからの私
事情はすぐに分かることとなる。
アルザスはこっそり
トウカゲちゃんに自分の体の事を相談していたらしい。
闇魔法に深く通じているトウカゲちゃんならば
治すことが出来るのではないかと一縷の望みにかけたようだった。
一週間ほどは食事ものどを通らず、たくさんの人に心配をかけたけれど
皆の忙しそうな様子を見ていると私も頑張らざる得なくなった。
私に気を使ったのでしょうけど
アルザスの悩みを一緒に共有できなかったことが何よりも悔やまれる。
というかアルザスに対して私は少し怒っている。
自分は99%のツンの中に1%のデレを見出すとか言っておいて
自分が一番内面を見せないなんて・・・攻略難易度が高過ぎるわ
・・・なんてひどい親友かしら
アルザスは『勇』の七賢人のひとりとして魔法協会前に銅像が建てられている。
きっとアルザスは「自分なんてそんな地位にふさわしくない」と言い張るだろう
でも構いません、これは私の嫌がらせなのだから・・・
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そして、現在
今日もアクアローナは、サリアに手紙を書く。
そうそう、今日は手作りのクッキーでも添えましょうかね
サリアの鎧の眷属リカルドは
今日もアクアローナからの手紙をサリアに届ける。
サリア「また、アクアローナから手紙か・・・」
リカルド「はっ」
サリア「燃やせ」
リカルド「・・・ですが!!しかし!!」
サリア「は?」
リカルド「すいません、仰せのままにッ」
びしっと敬礼するリカルド・・・
リカルド「・・・サリアーデ様・・・クッキーは食べるのですね」
サリア「食べ物には罪はないからのぉ」
む・・・今日のは美味いの
リカルドは今日も
こっそりとアクアローナの手紙を回収して厳重に隠してある宝箱に中に丁寧に整理して入れる。
「おい、リカルド、そんなことしていることがバレたら大目玉をくらうぞ?」
「構わん、私ひとりの犠牲で済むならば!!」
そう、この手紙を残すことには意味があるのだ。
そしてリカルドはしっかりと宝箱に鍵をかけるのだった。
それから何日間も私は屋敷に籠りっきりだった。
食事はのどを通らず、水もほどんど飲むことができなかった。
それからの私は
【魔法協会創設編】それからの私