ウツロ、お前も確率武器の良さに気づいたんだな
魔法協会の『魔鎚のミヅチ』と言えば有名だ。
主に『ヤバい人』という認識が強い。
ただまぁ・・・
平凡な魔力ながら、あまたの難敵を打倒した実績は評価されるべきである。
生粋のギャンブラー気質で
その気前のいい賭けっぷりは一部ファンを強く引き付けるそうだ。
確かに憧れる部分も多いけれど
あとミヅチさんは筋肉隆々のムキムキだ。
元々筋トレとか大嫌いだったらしいが、
世界のどの金属よりも重い謎金属でできた魔鎚を毎日毎日毎日振り続けたせいで
バッキバキになってしまったらしい。
それでも「たまに大当たりが出るから振るのをやめられない」と休日であっても振り続けている。
主にパンツ一丁で魔鎚を抱える異様なその姿は、魔獣もびっくりして逃げ出すほどである。
ウツロは考える。
俺にはマネできないな
俺はギャンブルがあまり好きではない。
理由は・・・なんだろう・・・
『当たった時の喜び』よりも『外れた時の悲しみ』を引きずってしまうからかもしれない。
俺という人間は本当にジメジメしているんだな
ミストクラノスの灰色の霧と雲が頭に浮かぶ。
その晴れない霧の中をずっとずっと俺は彷徨っている・・・
$$$
今日は久々にミヅチさんと一緒に仕事だった。
(ミラは不在)
俺を見るや否や駆け寄ってくるミヅチ・・・
「ウツロ、最近の活躍 聞いてるぜ。お前も確率武器の良さに気づいたんだな!!」
確率武器?
ミラの事か、
確かにあの子のランダム魔法はそうと言えなくもないけど
「あれは武器じゃないし、好き好んで使っているわけでもない」
「はっははははは!!!そうかそうか、確率武器、良いだろう?」
陽気に笑うミヅチさん・・・
話を聞いてやしない。
俺をあんたと同列にしないで欲しいんだが
俺は普通だ