はたく
孝一、友達を作ろうと試みる
大海にだってあんな強そうな友達がいるのに・・・
俺には友達がいない・・・いや、別にいなくても困ったことはないけど・・・別にいいけど・・・
そう友達というのは、同じ趣味を持つどうしがなるものだ(孝一調べ)。
俺の趣味を壁殴りとするならば・・・どこかに同じ趣味の同世代がいてもいいのではなかろうか?
今日も孝一は近所の壁を殴っていた。
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川道豆太は今日も機嫌が悪かった。
黒い袖の破れたシャツに破れたジーパンを履き、銀色のチェーンをぶら下げていた。
こんなにかっこいい俺なのに、ナンパした女の子はなびかない・・・なぜだ。
「あんた、なんか小物っていうか、雑魚っぽいんだよね。」だと・・・ちゃんと毎日牛乳飲んで背が高くなる努力してるつーの
横にいるいちゃいちゃしているカップルが目に入る。ちくしょう彼女の方めっちゃ美人だな・・・男の方単なるデブじゃねーか。俺の方がお似合いだ、このリア充め。
豆太「ちくしょーめ」
イライラが頂点に達した彼は・・・近くにあった壁を殴りつけた。
・・・手痛い・・・むなしいぜ・・・
さっきから熱い視線でこちらを見ている人物が目に入る
・・・なんだ男か・・・ダサい黒いジャージの同学年ぐらいの男子じゃねーか。
孝一(・・・なんて声をかけるべきか・・・)
孝一「・・・・・」
豆太「・・・・・」
孝一「・・・・今日の調子はどうですか?」
豆太「・・・・は?」
孝一「この壁・・・いい壁でしょう・・・この壁に目を付けるなんてお目が高い。」
豆太「はあ・・・」
ん、こいつどこかで見たな・・・A組の水上か・・・いつも壁を殴るっていう危険人物の
・・・やべえ奴に出会ってしまった。
孝一「今日は何時間ぐらいなぐるんですか?」
豆太(何時間ってそんなに殴らねぇよ)
孝一「そのボロボロの出で立ち、かなりの壁殴り上級者とお見受けしますが・・・」
豆太(これ、おしゃれだから・・・)
豆太は事情を説明した。
孝一「そうか、初心者さんだったのか・・・」
豆太「だから、同類としてくくるのやめろって」
孝一「・・・せっかく、同じ趣味の友達ができると思ったのに・・・」
男に興味はないが、まあ、話してて普通だし、友達になるぐらいいいか・・・
豆太「まあ、友達ぐらいならなってやるぜ。」
孝一「マジか」
まったく、今日の成果は同学年の友達ができたくらいか・・・ナンパして彼女をつくるまで先は長いな・・・
大海「・・・・水上君・・・」
照れながらおずおずと大海が現れる。
・・・なんだこの超絶可愛い女子は・・・
孝一「・・・大海、こんなところで会うなんて奇遇だな・・・」
大海「・・・うん」
大海は赤くなって俯く。
・・・しかも、なんだこの雰囲気・・・これもう、付き合ってる感じじゃん、ちくしょう、こんな奴にこんな可愛い子が・・・
孝一「・・・紹介するよ。今ちょうど友達ができたところで・・・」
豆太が涙いっぱい溜めてこちらをにらんでいる。
豆太「・・・お前なんか・・・お前なんか・・・友達じゃねーーー」
豆太はそう言い残して走り去ってしまった。
孝一「・・・・」
大海「・・・・」
大海(・・・孝一君の目が死んでる。)
大海「・・・私は・・・水上君の友達だよ。」
孝一「・・・なぐさめてくれなくていいし。」