【月江さん編】視線と気配
豆太「最近・・・月江さんの視線を感じるんだが・・・」
休み時間、
机に伏して寝ている孝一に豆太がこっそり話しかける。
孝一「・・・・ああ・・・そうか・・・」
孝一は夜遅くまで壁を殴っていたので眠かった。
豆太「・・・特にお前に話しかけるようになって以来・・・月江さんがちょくちょくこっちを見る気がするんだ・・・」
豆太「やべぇ・・・月江さん本気で俺のことを・・・水上・・・どうしよう・・・水上」
孝一(・・・寝かせてくれ・・・・)
そういえばユズハ師匠の稽古でこんなこともあったな・・・
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ユズハ「今日は視線と気配について考えたいと思います。」
考えたい?
ユズハ「よく・・・武術に達人なんかが。『奴の気配を感じる』とか『殺気を感じる』とか言いますが・・・それって絶対『気のせい』だと思うのよね・・・」
孝一(ええ・・・)
ユズハ「『殺気を感じる』ってそれガン飛ばしてるだけだから!『気配を感じる』って見えていないのにわかるわけないでしょうに!」
大海「達人だったら感覚で何かがわかることもあるんじゃ・・・(まあ私にはわからないけど)」
ユズハ「例えば・・・クラスの可愛い女子の視線を感じると言い張って『あいつ俺の事絶対好きだよ』という男子・・・100%その男子の自意識過剰に違いないわ・・・もらね・・・気配なんてないことが証明されたわ」
孝一「・・・」
大海「・・・」
孝一「じゃあ・・・俺が人気の多いところで壁殴りをしている時に感じる冷たい視線も・・・気のせいなのか・・・」
大海(・・・それは・・・気のせいじゃ・・・ないのでは)
大海「じゃあ・・・たまに水上君から感じる『私の胸の方への視線』も・・・気のせい・・・かな?」
孝一「・・・それは・・・気のせいだから」
焦る孝一
ユズハ(孝一君・・・こっちを見ていいなさい)
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孝一はそれが豆太の勘違いであることを確かめるべく、月江さんの方に視線を向ける。
月江「!」
月江がさっと目を反らす。立ち上がって教室から出て行ってしまった。
やっぱり勘違いだな・・・
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放課後、喫茶店にて
月江「翔平・・・どうしよう・・・今日、水上と目が合った・・・どうしよう」
三島「・・・」
クラスでこの様子を少しでも見せれれば・・・もう少し想いが伝わると思うんだが・・・
三島はため息をつく。