キロと13匹の悪魔
強面の柄の悪い男たち複数が入店する。
エンザは彼らに気づいて、立ち上がる
エンザ「・・・ここは俺のおごりだがら・・・もう宿に戻れよ・・・」
キロ「?」
エンザ「俺は、お前とアーシェちゃんの『熱い一夜』を邪魔したくないだけさ」
キロ「・・・」
追い出されるように店から出る。
アーシェはキロの袖を掴みつつ・・・
赤面して恥ずかしそうに下を向く。
キロ(・・・どうして、しおらしくなってるんだろう?この子・・・)
『お前らは・・・先に孤児院に戻っていろよ・・・』
こんな場面前にもあったな・・・そう幼い頃・・・孤児院に居た時・・・
キロ「アーシェ、先に宿に帰っててくれ。用事を思い出した・・・」
キロは走ってどこかへ行ってしまった。
取り残されるアーシェ・・・
アーシェ「・・・」
横にいる使い魔はぷぷぷと笑いをこらえていた。
アーシェが手をバキリと鳴らす・・・
使い魔(・・・しまった、逃げるタイミングを・・・間違えた・・・)
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エンザは郊外の空き家に連れて来られた。
後ろ手を縛られ、椅子に座らされた。
「お前が・・・エンザか・・・フードの男に聞くまでわからなかったぜ。次々と顔を変えて俺らのファミリーから金を巻き上げた詐欺野郎・・・」
男たちはエンザを殴りつける。
エンザ「・・・けっ・・・あくどいことして儲けた金だろ?盗った方が世の中のためになるってもんだ・・・」
さらに2,3発男は殴りつける。
「さあ、金のありかを吐けよ。」
エンザ「・・・全部、女の子にあげちまったぜ?・・・ああ、ミルクちゃんベットの上じゃ可愛かったなぁ・・・ああ、あんたの元女だっけ?」
男の目の色が変わる。
「おい・・・もういい・・・始末しろ・・・」
入口から小さな悲鳴が聞こえた。
部下の悲鳴と共に・・・誰かがこの部屋に入ってきた。
その男は・・・幸薄そうな顔で・・・白い剣を持っていた・・・
エンザ「・・・キロ・・・」
「誰だ・・・てめえは・・・邪魔してんじゃねーぞ」
背後からの攻撃をキロはひらりとかわして、白い剣の柄を首元に叩き付ける。
・・・不思議だ・・・
仕事を首になる前だったら・・・
この人数に物怖じして、戦おうなんて絶対に思わなかっただろうな・・・
ここにいる誰より・・・悪魔は力が強いし
何より・・・アーシェと比べたら・・・止まって見える・・・
エンザが呆けているうちにキロの周りに立ち上がっている者は居なくなっていた。
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エンザはよろめきながらキロの後ろを歩く。
エンザ「俺さ・・・フードの男に『悪魔の力』っていうのをもらってさ・・・自分の顔を自由自在に変えれるようになったんだ。」
キロ「・・・」
エンザ「顔が変わるだけでさ・・・今まで見向きもしなかった美女たちが俺にゾッコンだった。男たちだってそんな俺に一目置いてくれた・・・それからは・・・いろんな人を騙して、騙してやりたい放題だった。」
つい最近、フードの男に
街のゴロツキに招待バラされたくなかったら・・・キロを殺せって脅された・・・
キロを殺さないとこの能力を消されるって言われた・・・
だからって・・・弟同然の・・・お前を殺せるわけないだろ?
で、断ったら・・・街の連中に招待バラされてこうなったわけだ・・・
エンザ「・・・まあ、つまり・・・この能力を奪わないでくれると・・・有り難いんだが・・・」
エンザは・・・期待する目でキロを見る。
キロの目は冷めきっていた・・・
キロ「それ・・・無理だから・・・」
エンザ「ちっ、そう言うと思ったよ。・・・そういう強情なところ変わんねーよな・・・」
キロはエンザから魔力を吸い取った。
ホストの顔でない、昔と変わらないエンザがそこに居た。
キロはまじまじとエンザを見る・・・
キロ「エンザは、優しいし、モテると思うんだが・・・」
エンザ「はは・・・男に言われてもな・・・」