ウツロ 正教会の異端審問員


ウツロ 正教会の異端審問員 その2




本日の任務:悪魔熊デビルベア×1の討伐




ん・・・聞いたことがない魔獣だな・・・
悪魔?・・・悪魔はヤバいだろう・・・
完全に自分の領分を超えている気がする・・・国の崩壊が心配されるような大事件だ・・・
それこそ・・・七賢人が出動するレベルの獲物な気がする・・・


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エレノール:いえ、悪魔熊と言っても『悪魔っぽい外見なだけ』なので問題ないかと・・・
      ただし、物理戦闘力は高いのでご注意ください
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なんだ、悪魔っぽい外見なだけか・・・



依頼のあった村に到着する。



そこには、
正教会の異端審問員のダウナがいた・・・
討伐対象がバッティングしたらしい。




事情を知るや否や ダウナ がこっちへやってきて 言い放つ。


「今回の討伐対象は悪魔・・・正教会の『聖法力』が有効です・・・よって、異教徒の出番はありません・・・大人しくそこで指をくわえて見ていてください。」



悪魔熊を悪魔だと思っているらしい・・・
こういう情報の蓄積がないのも老舗と新規参入の違いか・・・
というかこの子・・・『聖』属性の魔法などという高尚なモノは、使えないのではないだろうか・・・





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2mはある大きな巨体毛むくじゃらで悪魔のような尻尾と耳を生やす。
報告の通りの悪魔熊が姿を現す。



熊「人間風情が我に盾突くとは・・・愚かなり」
人語を喋ってる・・・ちょっと悪魔っぽいこと言ってる・・・


背負っている大きな十字架を両手に持ってかまえる。
ダウナ「神の名において・・・異教徒に鉄槌を・・・」



すごい速度で腕を振り下ろす悪魔熊とそれを正面から巨大十字架で受けるダウナ
ガチンコの格闘戦を繰り広げる両者・・・


熊「なんという強い聖法力・・・」
ダウナ「あなたの魔力も相当強いですね」
いや・・・どっちも物理なんだが・・・



両者の目にもとまらぬやり取りを見つつ、
ただ茫然と立ち尽くすウツロ・・・ああ、この感じ何度目だろうか・・・




だが、ダウナの方がやや劣勢で徐々に追いつめられて体制を崩す。


熊「とどめだ!」



バシュッ・・・・



悪魔熊は背中に痛みを感じる・・・
ウツロの背後から 風切り だった。


熊「なんだ・・・お主いつからそこに居た?」
ああ・・・俺って忘れられすぎ・・・


熊「・・・まさか、気配を絶つ魔法を」
え・・・使ってないですけど・・・


ダウナ「余計なことをするな 異教徒ッ」




悪魔熊は標的を変更してウツロへ突進する。



ダウナ「・・・」



ダウナは足を地面に強く踏みつける。
ダウナ「・・・足喰いフットイーター・・・」

【足喰い】
地面から虎バサミのようなトラップを発生させる土魔法



足を捕られた悪魔熊は派手に横転する。



ウツロ「・・・」
熊「・・・」



ダウナ「おっと神のご加護が・・・」



こいつ・・・いい性格してるな・・・
熊「ちょ・・・卑怯だぞ・・・」


ダウナ「いいえ・・・あなたは神のご加護でうっかり足を滑らせたんです・・・いいですね?」

熊「・・・この悪魔ぁあああ」




情け容赦なく振り下ろされる十字架・・・あっけなく悪魔熊はあっけなく倒される。




ひとりでこのレベルの魔獣を倒すなんて・・・
なんて優秀な土魔女だろうか・・・若いながら素晴らしい・・・性格は悪そうだが・・・



ウツロ「上手い、土魔法の使い方だな・・・」
ウツロはうっかりと口を滑らせる。


ダウナ「・・・これは、神のご加護です・・・異教徒」


任務は無事終了したが、ダウナは不機嫌なままだった。
まずったな・・・