ウツロ 正教会の異端審問員
このクラスティア王国において、正教会と魔法協会はいがみ合っている。
【正教会】
正教会はこのクラスティア王国に古くからある組織である。
魔法を『邪悪なモノ』と認定して弾圧してきたが、ここ30年、戦争での活躍、魔獣討伐、魔法技術の発展と魔法協会が絶大な支持を集めていることから表立った批判はなりをひそめている。しかし、根っこの部分は何も変わっておらず、市民からの寄付金を横取りされ、権力も昔と比べて小さくされてしまったことを妬んでいるらしい。
魔法協会においしいところを持っていかれてたまるかということで、先ごろ、正教会にも『異端審問員』という名前で魔獣討伐の部隊が編制されたらしい。リムガント付近では『異端審問員』も幅を利かせているらしいが、この辺りでは珍しかった。
そういえば・・・北支部の街ミストクラノスにもひとり・・・異端審問員がいたな
ダウナ=インバース
彼女は正教会のシスターで異端審問員らしい。
大きな十字架を背負っている・・・
長い髪・・・細くスレンダー・・・どこにそんな怪力が・・・
彼女はウツロと同じで
リムガント周辺の村々をめぐって魔獣退治をしているようだった。
たまに見かけるその様子は、
常に暗い顔をしてしんどそうだった・・・
その姿は、少し共感がもてるのだが、
向こうからは「異教徒滅びろ」と言わんばかりの視線を向けてくるので
言葉を交わしたことはない。
$$$
ある日、
仕事の帰り、ミストクラノスの路地を歩いていると
怪我人がいるよいうことで人だかりができていた。
「出血もひどい・・・」
ダウナ「・・・私に見せて下さい・・・」
人込みをかき分けてダウナが駆け寄る。
ダウナ「これなら私の回復魔法で・・・」
回復魔法・・・おお・・・そんな珍しい魔法が見られるなんて・・・
【回復魔法】
『聖』属性の魔法、正教会や魔法協会でもごくごく一部しか使えない希少魔法、ポーションと効果は同じで翌日辛いことは変わらないらしい。
消毒したのち
彼女が傷口に手をかざすと・・・周りの石が傷口を塞いだ・・・
おお・・・ってこれ・・・土魔法じゃん・・・ただの絆創膏・・・
「おお、これが回復魔法か・・・」
「初めて見たな・・・」
「シスターさん、ありがとうな」
ウツロ「・・・」
ダウナは周囲には笑顔で答えつつ、
何かに気づいたウツロについて、無言のプレッシャーをかけてきた。
いや・・・べつに何も言わないけれど・・・
あれは・・・魔法協会でよく見る土魔法そのものだった・・・
正教会の異端審問員も根源とするところは同じのようだった。
全然回復してなさそうなんだが・・・なんだが・・・
うるさい異教徒!!
折れた腕も・・・正位置に戻して土で固める・・・
ビブスだった・・・
本日の任務:悪魔熊デビルベア×1の討伐
ん・・・聞いたことがない魔獣だな・・・
悪魔?・・・悪魔はヤバいだろう・・・完全に自分の領分を超えている気がする・・・国の崩壊が心配されるような大事件だ・・・それこそ・・・七賢人が出動するレベルの獲物な気がする・・・
+++++++++++++++++++++
エレノール:いえ、悪魔熊と言っても『悪魔っぽい外見なだけ』なので問題ないかと・・・
ただし、物理戦闘力は高いのでご注意ください
+++++++++++++++++++++
なんだ、悪魔っぽい外見なだけか・・・
$$$
村に着いたら・・・既に先客がいるようだった・・・
「ああ、正教会のシスター様・・・どうか我々をお助け下さい。」
「ええ、わかりました・・・その悪魔熊は私が処罰しましょう・・・」
たしか・・・あの衣装は正教会異端審問員・・・どうしよう・・・獲物がバッティングした・・・
「おお、魔法協会の方も来てくださったぞ!!・・・どうか我々をお助け下さい。」
ウツロ「・・・」
村人の話によると
既に村に大きな被害が出ているので、魔法協会と正教会の両方に支援を求めたとのこと・・・
やめてよ・・・事態がややこしくなるでしょうに・・・
ともあれ・・・身の振り方に注意しないと・・・魔法協会と正教会の抗争に発展しかねないな・・・
「あら・・・その 薄汚い 紺色のローブは・・・魔法協会の方ですね・・・初めまして・・・私は正教会異端審問員のひとりと申しますわ・・・」
ん?今 薄汚い って言っただろうか・・・
いやいや、これはちゃんと洗濯してない俺が悪いよな・・・普通普通
「初めまして・・・魔法協会魔獣討伐部のウツロ=ハイイロです・・・」
ウツロは出来るだけ爽やかに振舞って握手をすべく手を差し出した。
「・・・」
ウツロ「?」
・・・フォーレスは背負っていた十字架のを大きく振りかぶって・・・ウツロの手に叩きつけようとした・・・ウツロは手を引いてそれを避けた。地面にバリバリとヒビが入る・・・
「はぁはぁ・・・すいません・・・思わず手が出てしまいましたわ・・・異教徒が私に触れようとした・・・その事実に・・・思わず・・・ね・・・ふふふ」
この人・・・狂信者だ・・・
ウツロは今日の先行きがとても不安になった。
被害にあっているらしい村にたどり着いた。
いやいや、気を引き締めろ・・・これは外部の人との任務、自分の一挙手一投足が原因で魔法協会と正教会の大戦争に発展することすらあるかもしれないんだから・・・
ズシン・・・ズシン・・・
地響きが聞こえる。
村の入口・・・
大きな十字架を背負った女性が現れた・・・
長い髪・・・細くスレンダーな人だった・・・どこにそんな怪力が・・・
なんだこのひと・・・
「あら・・・その 薄汚い 紺色のローブは・・・魔法協会の方ですね・・・初めまして・・・私は正教会異端審問員のひとりダウナ=インバースと申しますわ・・・」
ん?今 薄汚い って言っただろうか・・・
いやいや、これはちゃんと洗濯してない俺が悪いよな・・・普通普通
「初めまして・・・魔法協会魔獣討伐部のウツロ=ハイイロです・・・」
ウツロは出来るだけ爽やかに振舞って握手をすべく手を差し出した。
「・・・」
ウツロ「?」
・・・フォーレスは背負っていた十字架のを大きく振りかぶって・・・ウツロの手に叩きつけようとした・・・ウツロは手を引いてそれを避けた。地面にバリバリとヒビが入る・・・
「はぁはぁ・・・すいません・・・思わず手が出てしまいましたわ・・・異教徒が私に触れようとした・・・その事実に・・・思わず・・・ね・・・ふふふ」
この人・・・狂信者だ・・・
ウツロは今日の先行きがとても不安になった。
魔物も・・・上位の存在に憧れたり・・・
正教会のシスターも・・・聖属性の魔法に憧れたり・・・みんな色々あるんだな・・・
徒歩で移動中、エレノールさんからメッセージが入る。
++++++++++++++++
エレノール:今回は込み入った事情の任務を受けていただきたいのですが・・・
正教会の方との魔獣討伐演習の依頼がありまして・・・
++++++++++++++++
正教会と任務?
こんな外交も絡んだ重大任務を受けていいのだろうか・・・
++++++++++++++++
エレノール:なんというか、形骸化しているので近頃は適当になっているというか・・・
++++++++++++++++
なんだそれ・・・
往々にしてありがちだけれども・・・
++++++++++++++++
エレノール:ただし、提出書類はたっぷりあるのでそちらもどうぞお願いします・・・
++++++++++++++++
ああ、ただただ面倒だ。
$$$
首都リムガント、正教会本部にて、
年老いた神父が壇上からひとりの女性に話しかける。
神父「ミス.フォレスあなたに仕事を与えます。」
「了解しましたッ・・・見事 異教徒達を撲滅して御覧に入れます」
神父「まだ何も言っていません・・・」
・・・
神父「・・・・・という訳で、魔法協会の方とくれぐれも もめ事 を起こさない様に・・・」
「分かりましたッ、神父様、見事 異教徒達をせん滅して御覧に入れます」
神父「もう一度最初から聞きなさい。ミス.フォレス」
$$$
任務当日・・・
やってきたのは・・・
ここ10年は、このような冷戦状態に対して両者の講和を試みる取り組みも活発になっていたりする。
今日は正教会の人と魔獣討伐任務をするらしい。
どんなヒトだどろうか・・・正教会は割と高齢なヒトが多いからお爺ちゃん神父かもしれない。
優しいお爺ちゃんとホンワカした任務になるんだろうか・・・
ちなみにウツロの育った孤児院も正教会系だったので、内情やらなんやらを良く知ってたりする。信者ではなかったが・・・
正教会の異端審問員
アイアンメイデン・ハザード様
土魔女 フォレス=インバース
正教会
この異教徒が!!!
私・・・回復呪文などはお手の物なのですよ・・・
全然回復してなさそうなんだが・・・ビブスなんだが・・・
うるさい異教徒!!
まあ、相性悪くてもミラの出力なら問題ないことが多いんだけども
※その代わり巻き込まれないように全力を出す必要あり