ウツロ ミラスロットへ


記憶喪失からミラスロット取得まで




結論から言おう
ミレスの感情を制御する首飾りは取り外すことができた。
彼女の生きてきた記憶の大半を引き換えにしてであったが・・・




この成果は成功と言えるものだった。



それでも・・・
術後の経過は・・・良好とはいかなかった・・・



メルビ「ミレスの魔術の暴走が止まりませんが・・・」



ミレスの魔法の暴走は激しさを増すばかりだ。



彼女は魔法協会の常識では考えられないほどの多属性を高レベルに扱うことができる。
それまでは感情の制御によって脳への負荷を軽減してきたが、感情を取り戻しつつある今
彼女の脳がそれまで学んで来た魔術を制御しきれないようだった。



アクア「今日、直接、彼女を魔術で押さえつけたけども・・・ミレスはすごいわ・・・あの年であれだけの魔術を扱えるのだから・・・」




メルビ「関心している場合ですか・・・あんな化け物・・・もう手に負えませ・・・」



アクア「メルビア」



メルビ「・・・・・すいません・・・言い過ぎでした。」




彼女の感情の暴走は夕方から夜にかけて活発化するようだった。
アクア「彼女は今自分を取り戻している最中なのよ。私たちが手を貸してあげなきゃね。」



アクアローナ様は・・・
誰にでも優しい・・・優しすぎる・・・
そうでなければ・・・きっと私自身も拾われることはなかっただろう・・・




アクア「よしよし、明日も私がお守りを・・・」



メルビ「いいえ、アクアローナ様が直々に出る必要はありません。」
アクア「・・・そう?」

メルビ「あんな小娘、私一人で十分です。」




アクア「・・・油断しちゃダメよ、彼女の魔法は本当に殺傷能力が高いわ」

メルビ「ご心配痛み入ります。・・・しかし、幼い頃お救いいただいたこの命・・・喜んでアクアローナ様の捧げるつもりです。」



アクア「・・・もう・・・メルビアったら・・・」
涙をぬぐうアクアローナ




アクア「それにね・・・そういうことは・・・もっと他の『いい人』に言ってあげなさい。」




メルビ「・・・」
アクア「・・・」



アクアローナを睨みつけるメルビア
アクア(・・・この冗談は・・・禁句なのかしら・・・怖い)





翌日の夕刻、


メルビ「・・・というわけで」



ミレスの魔術の暴走が始まる・・・



メルビ「さぁ・・・来なさい小娘・・・気の済むまで『調教』してあげるわ」





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それから一か月・・・
ひたすらに魔術合戦の繰り返し・・・



彼女は『ミラスロット(ランダム発動)』という形で自分のたくさんの魔術に折り合いをつけたようだった。・・・なぜ、ランダムなんて使い辛くしたのか理解不能ではあったが、



そして、彼女は『ミラージュ=イエール』と名前を変える。
そっちの方が可愛らしいというアクアローナ様の配慮と、
その当時、敵国のエースということで色々嗅ぎまわる不穏な連中もいたから仕方なかった部分もあったり、



魔法学校へ入学させた後も、手を焼かされるし、現在も手を焼かされている・・・
私に言わせれば手がかかりすぎる『価値の見合わない買い物』だったというのが正直な感想だ。




アクア「ええ・・・でもメルビア・・・あなたも幼い頃は結構手がかかる子だったけどねぇ」




そう言われると・・・
私は返す言葉が無くなってしまうのだった・・・