はたく 大海さんの心は荒れ模様


大海さんの心は荒れ模様





大海はここ最近、心穏やかでなかった。






孝一と月江さんのことだ。



ああ・・・いつの間にあんなに仲良く・・・



私は・・・愛が重いだろうか・・・
前々からちょっと自覚はあったけど・・・




いや・・・


それ以上に・・・
仲が良い以上に・・・




『お互いを認め合うライバル』って雰囲気が羨ましい・・・




私がその場所に入れていないのが・・・悔しい



ぷー

孝一君に文句の一つでも言いたい・・・
そんな彼女面は嫌われるだろうか・・・



そもそも何に怒っているんだ私・・・私は何がしたんだ・・・
わからなくなってきた・・・





私の壁は・・・何処にある?






$$$







本日の真田流の稽古の終了後、

孝一「・・・あのさ・・・今日機嫌悪くないか・・・」



大海「・・・」




大海「・・・別に」


合コンに行ったこととか、その後、月江さんのピアノのコンクールを見に行ったこととか、それから、月江さんと仲がいいことなんて・・・全然嫉妬していないし




孝一「今日は・・・この前大海が食べたいって言っていたお菓子を買って来たんだが・・・」




大海「・・・」




大海「・・・食べる」





お菓子は美味しかった・・・

私の嫌な気分が消えていく・・・そんなことで消えていいのか私・・・
ああ・・・これでは餌付けされる飼い猫・・・




大海「・・・」
孝一「・・・」



じっと心配そうにこっちを見る孝一君・・・




私は・・・私はね・・・孝一君・・・





ドックン・・・ドックン・・・




今なら・・・言えるかも・・・





ドックン・・・ドックン・・・






ユズハ「ただいまー」


この家も2年ぶりね・・・



「え・・・ユズハ師匠・・・」




驚く大海と孝一
ユズハ師匠は少し安堵した顔を見せて・・・ため息をつく。




「久々に帰ってきた実家が・・・弟子たちの愛の巣になっていた件について・・・」




大海「変な言い方しないで下さいッ」




とてつもなく微妙でおかしなタイミングだったが・・・確かにユズハ師匠は帰ってきたのだった。