集団を率いる才能は

集団を率いる才能は・・・



行商団にいた頃、
カルロは「いつか、親方みたいに行商団を切り盛りするのが夢だ」と言っていた。
集団を率いるリーダーは大変だ。自分以外の責任もしょい込まなければならないし、
その不安を表に出すことも許されない。
ちなみにウツロ自身にはその才能は全くないと自覚がある。多少の憧れはあるものの・・・




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ミラ「リムガントの街を案内してあげる」




と言われて、近郊まで来たはいいが、
どうしてこんな状況になってしまったのか・・・



縄で縛りあげられるウツロ・・・
地鳥に乗った20人ほどのガラの悪い人々に囲まれる。



パラリラパラリラー
パラリラパラリラー
ラッパを鳴らしつつ、カスタマイズした地鳥で駆け回る。
あーこれ、リムガント名物『暴走族』って奴か・・・生で見れるなんてなー
しかも女ばっかり・・・『れでぃーす』って言うんだっけ・・・



さて、どうしたものか・・・
このゆるい縄を抜けるのは簡単だが、この民間人と戦闘していいか?そこだな
ええっと魔法協会規則はどうなってたっけ・・・このあたりの条文は複雑だったな
「協会規則を確認したので魔法の書を開いてもいいですか」と言ってみる・・・それは流石に




「ネタは上がってるんだよ、お前がリーダーを弄ぶ 最悪男だってな!」




ウツロ「?」



「私らにお前のことを話すときの・・・物憂げなリーダー」
「きっとこいつに騙されているに違いねぇ」

「リーダーの『すべすべパーフェクトボデー』に何の不満があるんだよ」




なんなのこの状況・・・





「お前ら・・・やめな!!」





「リーダー」
「リーダー!」
ミラの一喝で集団がざわめく。
ん・・・つまり、こいつらのリーダーがミラだったということなのか・・・


ミラ「ジェシー・・・これはどういうことだ・・・」
ジェ「ウチら・・・リーダーが悪い男に騙されてるんじゃないかと心配になって・・・」

ミラ「馬鹿野郎ッ・・・ウツロ先輩はなぁ・・・すごく真面目で誠実でウブなんだよ・・・」
ウブゆーな




ミラ「だが・・・ありがとな・・・心配してくれて」
ジェ「リーダーぁ」
泣き出す、ジェシー・・・





「リーダー!すんません」
「出過ぎた真似をしました」


「リーダーお幸せに」
「こら、ウツなんとかぁ・・・リーダー泣かせたら締めに行くからな」

事は丸く収まったようで・・・
去っていく『れでぃーす』の面々





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バレた・・・バレた・・・バレた・・・






ウツロ「・・・」
ミラ「・・・」





気まずく長い沈黙・・・どういう言葉をかけたものか


どうしよう・・・どうしよう・・・

スカーレット(笑)とか言われて
絶対ドン引きにされる・・・私の黒歴史


ミラ「これは・・・その」

ウツロ「ミラは・・・すごいんだな・・・あの規模の集団を率いるとか」
※ウツロの行商人時代の経験より、20人規模の行商団はそれなりに立派である。




ミラ「・・・え」




・・
・・・
・・・・


ミラ「・・・」




ミラはすごく体が熱くなるのを感じた。
ヤバい・・・これは・・・ヤバい・・・



ウツロ先輩・・・今の不意打ちは、卑怯です・・・



込み上げてくる感情に耐え切れず、
その場にうずくまるミラだった。





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「おお、大リーダーだ」
「大リーダー」
「大リーダー!」



ケーリー「・・・」



過去のあの日以来、
スカーレットの面々に『大リーダー』と呼ばれるケーリーさん






・・・


まぁ・・・私も・・・
あまり人の事を言えた義理ではないけれど・・・ね


身に覚えがない訳でもなく
少し耳が痛いケーリーだった・・・