過去を語らないミラ
ウツロは過去を語らない・・・
・・・
カッコをつけているわけでなく
過去に『良い思い出』があまりないからだ。
武勇伝とか欲しいな・・・
国を亡ぼす魔王を単身倒す・・・とか・・・なんて
パチパチと弱く燃えるたき火を見ながらため息をつく。
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ミラは・・・過去を語らない・・・
そもそも12歳前の記憶がないし・・・
それ以降の思い出は・・・ふ・・・もう忘れてしまいたい黒歴史ばっかり・・・
パチパチと燃えるたき火とウツロ先輩が見えた。
・・・
隠し事なんてしたくない
もっと自分の事を知って欲しい・・・
そう・・・思うけれど
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ごくたまに
ミラのことを『リーダー』と呼ぶ女子を見かけることがある。
ひそひそと噂をする中に『あれ・・・レッドスカーレットの・・・』と話す人もいた。
ウツロ「レッドスカーレット?」
ミラ「さー・・・なんでしょうか・・・」
焦って赤面してあたふたするミラ
ウツロ「?」
何か恥ずかしい過去なんだろうか・・・
自分にも恥ずかしい過去はたくさんある・・・
他人の情報だけを知ろうとするなんてフェアじゃないしな・・・
ここはそっとしておこう・・・
ミラ「でも・・・ウツロ先輩がどうしても知りたいっていうなら私は・・・」
ミラの真剣な目・・・
ウツロ「いや、別にいいけど」
ぷー
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12歳、記憶を無くした私は・・・
引っ込み思案だった。
大人しくてびくびくおどおどしていた。
思い出せない過去、右も左もわからない魔法学校
それは無理のないことだったのだが、
怖い、怖い、怖い・・・学校怖い・・・
校内のいじめっこに対して私は・・・ミラスロットをぶっ放してしまった・・・
そして・・・
その日を境に喧嘩、喧嘩の繰り返しで・・・
気が付けば・・・
レッドスカーレットという『れでぃーす』のリーダーになっていた・・・
「リーダー!」
「リーダー!」
慕ってくれる、妹たち・・・
あれ?どうしてこんなことになってしまったんだっけ?
『レッドスカーレットの魅羅みら』と言えば同世代で知らない者はいないほど有名になってしまった。
今にして思えば顔から火が出そうなほど恥ずかしい黒歴史なのだが・・・
そんなある日、
私は・・・
当時の風紀委員長のケーリー=エクセルに出会うのだった。
「ミラって経験豊富そうだな・・・」
口に含んだ紅茶を吹き出しそうになったケーリー
ああ