【行商人編】ウツロはよくわからない立場で騎士国に滞在する

【行商人編】ウツロはよくわからない立場で騎士国に滞在する





騎士国王都ヴェルハイムに到着して真っ先に城の地下の牢獄へ案内された。





イビキ「微妙だ」





牢屋の格子ごしにウツロを見た睡眠盗賊団のリーダー イビキはキッパリとそう答える。


「あの時の魔術師は、暗がりで顔が良く見えなかったしな・・・こんな人生に疲れた顔をしていなかった気がする・・・奴は狂気の笑みを浮かべてそれは恐ろしい怪物のような男だった・・・どちらかというと横の騎士(バンリ)の方が近い」

「おお、やっぱり私が倒したんじゃないか?」
嬉しそうなバンリ

・・・この言いぐさ
確かにあの時は魔力がたくさんあってハイテンションだったが
ああ、今更になってなんか恥ずかしくなってきた。



「・・・んーと・・・それでどうしようか?」
周りの騎士達がざわめく。
流石にここまでやっても何も出てこないのは予想外だったらしい。

よし、いい流れだ。
今の今まで真実をはぐらかし続けた甲斐があった。
・・・リリース、リリースしろもうそれしかないだろッ





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騎士国騎士たちの朝は早い・・・




うるさい鐘の音で強制的に起こされ、
目覚ましに城外をランニングして畑仕事を少々やる。
ウツロは極限に眠いがなんとか集団についていく・・・
バンリ「こら、もっとシャキッとしろ!」


朝飯をがっつり食べたら次は筋トレ、筋トレ、筋トレ


お昼を食べたらしばらく休んで
武具と騎乗訓練ののち、筋トレ、筋トレ、筋トレ
バンリは人一倍頑張っている。


・・・あの、筋トレの割合高すぎないか?



バンリ「馬鹿者!筋トレは騎士たるものの基本中の基本だぞ、昔の偉い騎士も常日頃筋トレを欠かさなかったと文献にも書いてある」
・・・ホントかよ、そんな情報初めて聞いたぞ。



夕食・・・
大食堂で飯を食べる



バンリ「ところで・・・お前、どうして一緒に訓練してるんだ?」



・・・ぶっ
今更か


「王様が『何日間か滞在していけ』とウツロに勧めたからだろ?」
横の先輩騎士が補足する。



ゼフから発せられる
「この人とどう接していいかわからないオーラ」が痛い。
本当に何をやっているんだろうか・・・




ふと・・・
王との会話を思い出す。



『魔法が使えるなら騎士たちに色々教えてやって欲しい』



そう頼まれた。
「俺なんかじゃ無理です」と言ったのだが、
王の頼みを無碍にもできなかったわけで・・・


一歩間違えれば首が飛んでたかもしれないと考えれば
数日間ここで我慢くらい安いものだ。
カルロは10日以上は国境沿いの街に駐留すると言っていたし、まだ追いつける。









俺なんかでは初歩の初歩しか教えられませんと言ったのだが



「今、この騎士国は『魔法を導入すべきか禁止すべきか』で揺れている・・・お主の意見が聞きたい」



いやいや・・・
俺みたいな小物がそんな大それた意見を言えるわけない・・・



「『ラグベール出身』のお主だからこそ、率直な意見が聞きたいのだ」



ラグベール出身・・・つまりはこういう意味だろう
東の2大国は対照的だ『魔法によって栄えたクラスティア王国』『魔法によって滅びたラグベール王国』滅びた側から見て魔法とはどうなのか・・・それが知りたいのだろう・・・




過去の色々が蘇る・・・




ウツロ「・・・魔法は誰にでも使える便利なものです・・・だからこそ、国家の側が魔法について誰よりも熟知していなければならない・・・禁止してしまえば魔法について知る機会を逃してしまうと思います」



「・・・そうか・・・お主の意見・・・しかと聞き届けた、今後の政策の参考にしよう」




今更ながらにほっと胸をなでおろす。
ああ、変な事 喋って機嫌損ねなくてよかった。

数日間ここで我慢すればいいなら安いものだ。
カルロは10日以上は国境沿いの街に駐留すると言っていたしまだ追いつける。



それにしても、
ここの食堂、ご飯自体はボリュームあって美味しいかもしれない



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王様への謁見・・・




「罪人なら牢屋、食客なら迎賓館に滞在してもらうはず・・・罪人以上食客未満・・・つまり騎士見習いかな、なるほど」





「しかし、罪人なら牢屋、食客なら迎賓館に滞在してもらうはずだろ?俺らと一緒に訓練ってどういうことだよ?」




罪人以上食客未満・・・つまり騎士見習いだね、なるほど




明日は確実に筋肉痛だな・・・
ご飯自体はボリュームあって美味しいかもしれない


「そいつの処遇だが、陛下の希望で、陛下に謁見させることになった」




なん・・・だと・・・
ウツロの顔が青くなる。
国王・・・それは己の気分ひとつで民草の首を飛ばすことが出来る厄介な人物だ。
会いたくない、会いたくない。
このまま誰の目にも留まらずひっそりとこの国を去りたい・・・




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城内の謁見の間・・・
ビビるウツロをよそにバンリは嬉しそうに椅子に腰かける人物に駆け寄る。


「お父様!!」



お父様?
(あれ、言ってなかったか?バンリはこの国の第3王女だぞ)
マジか・・・


バンリ「そうだぞ、私は『姫騎士』なんだ」
へぇ・・・姫騎士ね・・・・・・
その単語の・・・今までの良いイメージが無かったことになってしまったな




その後の王様との謁見・・・




「ところで、どうしてお前はまだここにいるんだ?」


納得要素はねーよ




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ウツロは騎士国の王都ヴェルハイムに連行された後、
この国に10日ほど滞在することになる。その経緯は以下である。





古代の騎士がやっていたらしいあの拷問を試したい
ひえッ



イビキ「・・・」
ウツロ「・・・」