ウツロ 幽霊船と水魔女

ウツロ 幽霊船と水魔女



幽霊船の噂
近頃、港街ではその噂で持ち切りで、ウツロの暮らす ミストクラノスにも届くほどだった。



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エレノール:・・・というわけで幽霊船の調査に同行して欲しいのです。
ウツロ:あの、流石に管轄外かと思いますが
エレノール:まだ、あいまいな情報のため、港の部隊を動かすわけにいきませんし、
      それにこれはアクアローナ様直々のご指名ですので
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なんだと・・・
『七賢人からのご指名なんて光栄だぜ』って思うのが普通なんだろうか・・・
ただただ面倒くさい・・・









水魔女と幽霊船




「初めまして・・・スフィール=アウディーネと申しますわ」




すごく・・・低い声・・・とても反響するような声だった。
彼女は、身長2mはあるどっぷりとした巨体のおばさん魔女だった。大きな目、カエルのような大きな口と唇、大きな魔女帽子とスカートとチラチラ見えるステテコパンツ・・・



なんというステレオタイプな魔女・・・なんという迫力・・・



時をさかのぼって1日前
ウツロは最近ちまたで噂になっている幽霊船の調査同行を依頼された。
その何の変哲もない客船に乗った者が
翌日、気が付いたら港に着いていて、ただ財布や金目の物が奪われているという
幽霊にでも抜き取られたのではないかというわけだった。


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エレノール:今回同行していただく、『水の魔法使い』は名門アウディーネ家の若手筆頭と
      評されるほどに優秀な魔女ですので、苦労することもないかと、
      個人的によく知っていますが、とても可愛らしくて良い子です。
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アウディーネ家ねぇ・・・上品で清楚なお嬢様みたいな魔女かな・・・
期待に胸を膨らませて待ち合わせの港町まで急いだ。


その結果・・・現在に至る。
もうエレノールさんの個人評価は信じないでおこう・・・




少なくとも40歳過ぎ・・・若手ではないだろう・・・
というか本当に人間かどうかまず怪しい・・・




【検証①】
歩くたびにたっぷんたっぷんと水音が聞こえる。
いやまあ、太っているからそうなんだろうか・・・


【検証②】
不注意で彼女が転んだとき、バシャっと音がなって首が飛んだように見えた。
「あらやだ」と叫んだ彼女は急いでお手洗いに駆け込んだ。
「お化粧が崩れてしまいましたわ・・・お見苦しいところを」
いやまあ、夫人の化粧というのはあそこまで濃いということなのか・・・



夜も更けてきた・・・



スフィ「申し訳ありません。ウツロさん1等客室は1名しか予約できませんでしたわ。」
ウツロ「いいえ、おかまいなく」
スフィ「もし良ければ、ご一緒に寝ますか?」

ウツロ「いいえ・・・結構です。」
ウツロは冷や汗をかく。



ウツロは下の3等客室で横になる。
なんの変哲もない客船だな・・・外れか?



遠くの方で音が聞こえた。
何かのメロディーみたいに聞こえるな・・・ああ、なんか懐かしい感じの・・・ウツロはまぶたがひどく重い、あれ・・・これ・・・ヤバい・・・

周りの客がバタバタ倒れていく。
ウツロもバタッと倒れて寝てしまっていた。















お化粧



なんだか眠くなってきた・・・


目を覚ますとスフィール
ぎゃあああああ






つか若手じゃないよこの人絶対
いや・・・顔に出しちゃ駄目だ。平常心、平常心、これは仕事、これは仕事


ウツロとスフィーは大きな客船に乗り込む。
スフィー「調査班の情報によるとこの船が幽霊船である確率が高いそうだわ。」
耳打ちするスフィー、スフィーは周りの注目をかなり集めているので針の筵だった。
他人のフリしたい・・・





大きな客船だからか、船内にはレストランが設けられていた。