【過去編】運命の魔力測定
眠い・・・眠い・・・眠い・・・
目を覚ますと・・・
いつもの教会の孤児院の天井だった。
なんて けだるいんだ、あと1時間は寝たい。
起きないとムチっぽい何かで叩かれるしなぁ・・・
シスター「こら、ウツロ、その『徹夜明けのおじさんみたいな顔』やめろって言ったでしょ!」
その例えひどくない・・・俺はまだ、10歳ぐらいの子供だよ。
確かに昨日は緊張して眠れなかったかもしれない。
今日は『自分の運命を決める大事な日』だからな
なんだ俺は子供っぽいところもちゃんとあるじゃないか・・・
【魔力測定の日】
ラグベール王国では、幼少期の魔力測定によって、『将来受ける教育や仕事』が決定される。
貴族や貧民例外なく測定義務があり、貴族であってもどん底まで身分を落とされる可能性がある。裏を返せば、孤児であっても一気に貴族クラスにまで上り詰めるチャンスがあるともいえる。
つまり・・・この判定ひとつで・・・
自分のこれからの人生のすべてが決定される・・・
後ろに抱き付いてくる体温を感じた。
「ウツロお兄ちゃん・・・私・・・怖い・・・」
この子は『ミレス』という名前で年下の女の子だった。
おっとりした子でウツロの袖をよく掴むことが多かった。
俺がいると他のいじめっ子の女の子寄ってこないもんな・・・俺は女子に嫌われているわけじゃないけど・・・ないけど
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測定班の大人たちが到着する。
流石のウツロも手が震えていることに気づく・・・
シスターたちは測定予定の子供たちの手を握って落ち着かせる。
シスター「ウツロ、大丈夫よ。あなたは『魔力がありそうな顔』をしているわ」
それって・・・『徹夜明けのおじさんみたいな顔』ってことですか・・・
ついに測定の瞬間がやってきた・・・
心臓がバクバクいって壊れそうだった。
きっと・・・俺の魔力は高いはずだ・・・
それでこの国の偉いポジションになって・・・
貴族のお嬢様みたいなお嫁さんをもらうんだ・・・
・・・・
・・・・・
・・・・・・
測定結果:ウツロの魔力5
一般平均の10よりも低い。歴代ワーストレベルかもしれない。
その瞬間・・・俺の人生が終わった。
かける言葉が見つからないシスター
シスター「ウツロ・・・どんまい・・・やっぱり『顔に活力がない』のがいけなかったんだよ。」
そういう問題だろうか・・・
後ろのミレスが前代未聞の高い魔力数値をたたき出して、大人たちが騒いでいた。
ウツロにはそんな騒ぎさえ耳に入ってこなかった。