シンカ
死に逝く者への慈悲
シスターストレは村人に説明する。
「というわけで・・・邪悪なゴブリンの群れから『この子』は救われた訳です。しかし、その代償に・・・冒険者の一行は・・・帰らぬ人となってしまいました。」
村人たちは親身になってこの話を聞いているようだった。
涙を流す者までいる・・・
ここの村人はとても薄汚れて見えた・・・そうだ・・・傍目に・・・ゴブリンと区別なんてつかないかもしれない・・・
「ああ、そんな勇敢な人たちだったなんて・・・」
よくもまぁ・・・こんな即興のホラ話をあたかも実際に起きたように話せるものだな・・・
感心してしまう・・・
シンカ「・・・ガフ」
ストレに小突かれた。
はいはい・・・可愛い子供のフリ、子供のフリ・・・
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ストレはすぐにこの村を去るようだった。
シンカはこっそりと見送りをする。
街道を少し歩いたところで休憩を入れた。
ストレ「どうでした。私の迫真の演技は?」
シンカ「・・・お見事でした」
ストレ「・・・ふふ・・・そうでしょう、そうでしょう。」
シンカ「何も・・・あの人たちを英雄に仕立て上げなくても良かったんじゃ・・・」
そこはね・・・あの人たちの身分とか色々あるんだけれど・・・やっぱり・・・
ストレ「・・・慈悲・・・かな」
シンカ「ジヒ?」
生きていると大なり小なり恨まれ続ける・・・でもね・・・死んでまで・・・憎まれ続けるなんて悲しすぎるもの・・・
シンカ「?」
意味はよく分からなかった・・・
ストレ「さて、『邪悪な存在さん』、あなた探し物があるって言ってたわね、探し物ならば大きい街へ出た方が良いと思うわ。・・・じゃあね、あなたとは・・・また会える気がするわ」
ストレの後姿を見送るシンカ・・・
あれ?次はどうすればいいんだっけ・・・