世界は平和とは程遠い
街に入る前に・・・
盲目のお爺さんの話
シンカはたき火を焚いて野宿していた。
ノワールさんも近くに寝そべっている。
夜は冷えるが、ノワールさんの毛並みの近くだと暖かかった。
お婆さんの情報が確かなら、明日ぐらいには街に到着するはずだ。
旅人もちらほら見かけるようになったし・・・
「旅人さんたち・・・混ぜてもらってもよろしいかな?」
目に包帯を巻いたお爺さんがヨタヨタと歩いてくる。
盲目なのか、枝で地面をさわりながら歩いてくる。
「ご自由に」
シンカはどちらでもよかった。
そうだ、どうせなら街の事など尋ねてみよう。
情報はいくらあっても困らない。
街に行くのは・・・やめておいた方が・・・いい・・・
お爺さんは淡々と語る。
邪神じゃ・・・邪神に・・・あの街は乗っ取られてしもうたんじゃ・・・
くわしく話を聞くが、どうにも要領を得ない。
そしてひどく怯えていた。
翌朝には・・・お爺さんの姿はなかった・・・
シンカ「昨日の話・・・どう思う?」
ノワール「どうでもいいでしょ、人間ごときの神がどうしようがボクらの敵じゃないよ。」
そう自信満々に言う、ノワールさん
自分たちって、そんな神レベルの存在何だっけ?
そんなことを思いつつ、
やはり恐怖などという感情が湧いてこないことに気づく・・・これはとても人間っぽくないんだろうなと・・・過去の微かな記憶から・・・そう感じるのだった。